The future is Rosé, The future of Rosé
プロセッコロゼがイタリアンスパークリングの主流になる日(Prosecco DOC monthly #2)
「未来はバラ色」。
日本ではロゼワインは桜の季節に飲むものとして認知は広まったが、世界的にはすでにロゼはブームを越えて定着したものと考えられている。プロセッコDOCもその波に乗り遅れることなく、2020年からプロセッコ ロゼの製造・販売がスタートし、日本では本格的には21年春から出回った。プロセッコDOCの公式サイト(イタリア語版)でも、「The future is Rosé」と冠してプロセッコDOCロゼへの期待と存在意義が説かれている。
プロセッコDOCワイン保護協会は数年前から、米国やドイツ、英国などでイタリア産スパークリングワインのロゼ、すなわちプロセッコDOCへの消費者の期待の高まりを分析していた。実際、イタリア最大のワイン展示商談会「VINITALY」でも新型コロナ以前の18年や19年にはそれらのレポートに時間が割かれていた。そしてどうやら、ロゼの導入はあらゆる面で期待を上回ったようだ。
プロセッコDOCロゼは、プロセッコのアイデンティティと言えるブドウ品種「グレーラ」を85%以上使用する。これは従来の白のプロセッコと同じだ。ロゼにはここに、国際品種であるピノ・ノワールを10~15%使用すると規定されている。二次発酵に費やす期間は従来品(白)が最短30日であるのに対して、ロゼは60日間以上だ。初年度の20年は手探りの状況の中で1600万本を生産。ロゼの浸透に手応えがあったのだろう翌年には7000万本以上と生産量を大きく伸ばした。
プロセッコDOCワイン保護協会の「この傾向が続けば、遠からずプロセッコロゼがイタリアのロゼスパークリングワイン全体の約90%を占めるようになる」という目論見が現実的かどうかは別として、ブドウ畑における品種ごとの“勢力分布”に変化が起こるのは間違いなさそうだ。
高い期待の背後には、プロセッコロゼの新たなファンとして欧米のミレニアル世代の存在があると言う。世界各国、例外なく若者の酒離れが注視されている中で、これからの飲酒世代に届き始めたロゼは切り札の一つになり得るのか、22年の生産量がどのようなものだったのか、昨年度の生産量などのレポートにも期待したい。
日本では、一定数の「ロゼは嫌い」という消費者も存在する。多くの場合が以前に甘いロゼワインを飲んだ体験によるもので、辛口のプロセッコ ロゼを飲むと評価は一変する。そのため、既にワインに慣れ親しんでいる消費者にはロゼは辛口の「ブリュット」一択だろう。一方、プロセッコの生産者の中にはほんのり甘く感じる「エクストラドライ」も存在する。これらの多くは主な輸出先が米国だと聞く。なるほど米国の若者世代に評価されていると分かると、日本では売りにくい感のあったやや甘口、プロセッコ ロゼのエクストラドライも、エントリーユーザーに向けたファンづくりに一役買いそうな、可能性が垣間見られる。
もうすぐ3月。桃の節句に始まり桜のシーズンと、日本におけるロゼワインマーケットの開花日も近い。造り手の売り手も飲み手も、先入観を捨てて桃色、バラ色の華やいだワインに親しんでいきたいものである。
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