ソーテルヌ格付け第一級シャトー
シャトー・ギロー醸造家来日
和食とのマリアージュを楽しむ
1855年にソーテルヌ格付け第一級シャトーに認定。その後も完全有機栽培、醸造設備の近代化、辛口スタイルの生産などを実践して高い質を維持し続け、フィネスとエレガンスを備えた気品あるスタイルが魅力のシャトー・ギロー。3月に醸造責任者であるサンドリーヌ・ガルベイさんが来日。輸入元の大榮産業はプレス向けランチ会を、神楽坂 宙山にて開催。甘口貴腐ワインの魅力と和食とのマリアージュを披露した。
ランド地方の森林と川面の霧が影響し貴腐ワインが生まれる
ソーテルヌ地区はガロンヌ河と森林に囲まれた影響でボルドーの他の地域より霧の発生が多く、それゆえ葡萄にボトリティス・シネレアという貴腐菌が着く。貴腐菌がついた葡萄は水分が蒸発し果実が凝縮され、甘い蜜のように官能的な果汁を含むようになる。そのため、通常は1本の葡萄樹からボトル1本分のワインができるが、ソーテルヌでは1グラスと非常に少なく貴重なワインとなる。
畑には635種の昆虫と300種の植物が
生物多様性を実現
シャトー・ギローはボルドー市から40㎞南にあり、128haの自社畑を所有。2007年には有機栽培に切り替え、現在はビオディナミを実践。所有畑128haのうち100haで葡萄栽培を行い、ソーヴィニヨン・ブランが35%、セミヨンは65%。残り28haでは葡萄栽培を行っておらず、この土地は緑地、森林、公園として確保し、多様な生物とその活動を促している。
2010年の調査によると、畑には635種類の鳥類と昆虫、300種類の植物が確認され、鳥の巣箱をいくつもおいて鳥が害虫を駆除。こうした生物多様性により完全無農薬、除草剤や化学肥料の未使用などを実践している。
エレガントで清涼感があり酸がフレッシュなスタイルが特徴
サンドリーヌさんは27年間シャトー・ディケムに在籍し2022年からギローに移った。栽培からボトリングまですべてを監督するという。サンドリーヌさんは「9月末~11月末まで約8週間かけて、葡萄の熟度や貴腐の着き方を一粒ひとつぶよく見極めながら収穫を行う。早く収穫した葡萄は辛口のワインとなり、ボトリティス・シネレアが付着した11月末の収穫の葡萄は甘口となる。オーガニック栽培の実践に加え、苗木も自社で育てている。土壌は砂利と砂の混じった体積土壌であるため、甘口ワインになった時でも清涼感があり酸が美しいスタイルなるのがギローの特徴だ」と語った。
シャトー・ギローは10年前から辛口の生産が増え、生産量の3分の2が辛口、3分の1が甘口を占める。辛口のスタイルは1980年にシャトー・ギローがソーテルヌで初めて造り始め、先駆者的存在となった。近年ではその辛口スタイルのニーズが高まってきているという。