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太陽に溢れフランス最大のオーガニックワイン産地オクシタニー

今年5月に南フランスのワイン銘醸地オクシタニー地域から、15の生産者が来日。フランス大使館貿易投資庁は「オクシタニー地域ワイン&スピリッツネットワーキング会」を開催。伸びやかで多彩で個性豊かなワイン&スピリッツが披露された。

ワインの歴史は3000年以上のオクシタニー地域。80のワイン呼称あり

オクシタニー地域とは、フランス南部にあり、南ローヌ、ラングドック・ルーション、シュッド・ウエスト、アルマニャック、ガイヤック、ガスコーニュなどを含む世界最大のワイン産地を有する。ワインの歴史は3000年以上もあり、この地域の人々は古来オック語を話し特有の文化をもつ。現在30万haという広大な産地に80ものAOCが、綺羅星のごとくひしめいている。

 

 

主要都市はトゥールーズ、マルセイユ。6つの世界遺産や海山のリゾートも人気

フランスの中央山海塊の中にある、モンターニュ・ノワール山脈から地中海にかけたこの地域には、陽光に満ちた丘や急峻な谷、温暖な海岸線、多彩な土壌、葡萄造りに最適な気温差のある気候など、様々なテロワールが相まって、個性豊かで多彩なワインが造られている。

また、この地域の主要都市は、東からローヌ川南岸にある「ニーム」、地中海沿岸の「モンペリエ」、世界遺産の古城でも有名な「カルカッソンヌ」、同じく世界遺産のミディ運河でカルカッソンヌと結ばれている「トゥールーズ」などで、世界遺産が6か所もある。南仏のワインともに観光やバカンスが楽しめる、心躍るワインツーリズムスポットとしても注目されている。。

フランス最大の自然派ワイン産地。多彩な葡萄品種で成功

ワインの話に戻そう。オクシタニ地域振興局(AD’OCC)のギヨーム・ロワさんは、「この地域の新しい動きとしてはビオロジックやビオディナミでの栽培が大幅に増え、自然派ワインの生産量はフランスで最大である。さらに、葡萄品種が多彩であること。シラー、サンソー、グルナッシュ、タナなどの固有品種、さらにシャルドネ、ピノ・ノワール、メルロなどの国際品種の他に、珍しい古代品種ブロコル、デュラス、フェール・セルヴァド、モーザックなどが非常に大切に保護されている」という。

そのうえ、これらの固有品種や古代品種であっても非常にエレガントで素晴らしいワインが生まれていることも近年の特徴。例えばフレッシュでミネラル豊かなスパークリングワインに使われるモーザック、濃潤だがきめ細やかなタンニンの赤ワインを生む黒葡萄のタナット、ネグレット、デュラス、フェール・セルヴァドウ、白葡萄ではコロンバール、プティ・マンサン、ブール・ブーランなども人気だそう。

固有品種・古代品種の保護と研究が進みワインもエレガントに

その背景には近年、ガスコーニュにあるフランス葡萄研究所では、固有品種、古代品種を保護しながら遺伝子解析を行って、各品種がもつ香りの成分を分子レヴェルで解析。コロンバールにはグレープフルーツ、ネグレットにはすみれ、デュラスには黒コショウ、モーザックには青いリンゴの香りがあることが、化学的に分解され、実際にワインにどのように使って行くかも研究されている。

さらに最後になってしまったが、このオクシタニー地域は、クリュクラスのワインはもちろん、親しみやすい低から中価格帯であっても非常に高品質でコストパフォーマンスに優れたワインが楽しめるエリアでもあることも消費者にとって大変嬉しい


来日した15生産者のワインは本当にどれも素晴らしかった。中でも特に印象に残ったワインを以下にご紹介しよう。

CALMEL&JOSEPH LA  MARQUISE2022(白)

ルーサンヌ70% グルナッシュグリ30%。ドメーヌはアラリック山とオート・コルビエール山脈の麓、標高240~300mの高地に位置し、数十年に渡って有機栽培を実践。ワインはルーサンヌ由来のフレッシュでアロマティックな香り、美しい酸と果実感が魅力。


JACQES FRELIN LES TERRELLES VIOGNIER 2024(白)

ヴィオニエ100%。1983年設立当初からオーガニックワインのみを生産。軽量ボトルの使用、再生紙ラベルの使用、再利用可能なボトルの提供など環境に配慮した慣行を実践。ワインはラングドックが誇るヴィオニエらしい、しっかりとしたストラクチュアと酸がありながら、酸が強すぎないガストロノミックなワイン。非常に美しくバランスに優れた味わい。


MAISON ALBERA CARIGNAN GRIS 2022(白)

地元でも珍しいカリニャン・グリ100%。さらに珍しくルションの森の栗の木の樽で熟成。
「香りの繊細さと余韻の長さをワインに表現したかった」という醸造家ジャン・レミ・ムラドさん。酸がしっかりありながら滑らかなテクスチャーを同時に感じる素晴らしいワイン。ルション地方の標高の高い500mに畑を持つ3代続く家族ワイナリー。グルナッシュ・グリはフランス全土でも40haしか栽培面積がなく大切にしている品種。毛深い変異種のグルナッシュやルドネール・ブリュなどの希少葡萄品種の栽培にも頑張っている。


MAISON ALBERT CHATEAU LES BUGADELLES TILKI 2023(白)

グルナッシュ・ブラン40%、ブールブーラン30%、ルーサンヌ30%。近年特に注目される地中海沿岸のAOCラ・クラープのワイン。地中海から3㎞の距離の、50haの有機栽培の畑から造る。海風の影響を受ける豊かなミネラル感、白い花のような芳香、塩味を感じる味わいは魚や牡蠣にぴったり。


CHATEAU LASTOURS PETRICHOR 2022(赤)

ブロコル60%、デュラス40%。ガイヤック地区の葡萄品種の豊かな個性を表現したいと、希少品種、固有品種を守り続ける1579年創業のシャトー。きめ細やかなタンニンとブロコル由来の酸が見事に融合。濃厚にしてエレガント。ガイヤックのタルン川右岸の砂利質土壌ならではの情熱と緻密さが同居している。


BLASON ⅾ`EXEA LANGUEDOC 2021(赤)

シラー、カリニャン、グルナッシュ。世界遺産であるミディ運河に接するラングドック地方に畑を所有。ミディ運河を建設したポール・リケ家から受け継いだ4つの畑を1803年に受け継いだことに始まる。バラのラベルのとおり華やかでフローラル、タンニンが非常にきめ細やかでエレガント。余韻にほんのり白胡椒の芳香が。


DOMAINE LA ROUVIO A TEMPO 2022(赤)

シラー60%、サンソ-30%、グルナッシュ10%。AOC ミネルヴォアでラングドックを代表をるす重要なアペラシオン。ナルボンヌとカタリ派の遺跡であるミネルヴォアのある海よりの地域。2011年から有機栽培を実践。粘土石灰石のテロワールにより、フルボディでありながら、フレッシュさもあり、この地域独特のガリーグのハーヴに似た芳香、のびやかで太陽を感じるワイン


DOMAINE DU CHĒNE COBNAC XO N20 1995 CHARENENT-AOC Cognac-Amber 1995

親子2人で映っている写真 150年以上に渡りピノー・デ・シャラントとコニャックを生産する家族経営のワイナリー。「我々の目標は時代を超えて愛される現代的なアペラシオンの製品を生み出すこと。当社のコニャックはシングルカスク100%フォル・ブランシュ、世代を超えたブランドなど様々なスタイルを製造している」と。7種の葡萄品種を栽培し、その中にはメルロー・ブラン、フォル・ブランシュなども含まれる。琥珀の色彩と深みと気品高い味わい。

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