イタリア ウンブリア州のグルナッシュの名手
Madrevite マードレヴィーテ プレゼンテーション・ディナー開催
2023年11月、イタリアのウンブリア州のワイナリー、マードレヴィーテ社は日本でのプレゼンテーション・ディナーをアンジェロコート東京にて開催。今回マードレヴィーテ社の来日はなかったが、日本におけるイタリアワインの先駆者、林茂氏(ソロイタリア代表)によるレクチャーでイベントが行われた。
ウンブリア州は地理的にイタリア半島のちょうど真ん中に位置し、州土の70%を占める緑の丘陵地帯から、“緑の心臓”と呼ばれ、紀元前7~8世紀からエトルリア人によってワインが生産されてきた。1000年前に聖フランチェスコが生まれたアッシジの街でも有名だ。
マードレヴィーテ社はこのウンブリア州北部に位置し、オーナーのニコラ氏が2003年に創業、祖父の代からの葡萄畑を植え替えするなど改良を行ってきた。敷地60haのうちブドウ畑は11ha。年間5万本を生産。ニコラ氏はDOCトラジメーノ生産者協会のディレクターも務めている。
このDOCトラジメーノには興味深い話が存在する。それは、使用できる葡萄品種のひとつが“ガメイ”となっていることだ。正確にはこれは“グルナッシュ”で、ガメイの同義語にもあたらない。中世時代に南フランスから伝えられたグルナッシュをガメイだと思って植えて、誤ってその名前が伝えられたのがそのままになっているという。
現在でもガメイ・デ・トラジメーノという葡萄品種で呼ばれているが、当日試飲してみるとガメイの風味とは全く異なっていた。大樽との相性が良く、グルナッシュ由来のストロベリーやプラム、アーモンド、スパイスの香り、プラムやブラックベリー、ヴァニラの味わい、なめらかで豊かなタンニン。非常に気品がありエレガントな素晴らしいワインだった。
DOCトラジメーノには35万本の葡萄が植えられているがそのうち約半分が、ガメイ・デ・トラジメーノの葡萄品種であるそうなので栽培面積は多い。近年では、ガメイというとボジョレー・ヌーヴァーのイメージも強い。さらに、この葡萄は標高250mのトラジメーノの湖の周囲で多くが栽培されているので、葡萄品種名もガメイを削除してトラジメーノにしてしまってはどうかという意見も出ているという。
オーナーのニコラ氏は42歳。子供の頃から葡萄畑を遊び場に育ってきて、農業高校卒業後、フィレンツェ大学でブドウ栽培と醸造学を学び、2003年に会社を始めた。学生最後のころ、フランスのロワール渓谷への研修旅行中に、ワインの火がついたという。また、高校最後の年にカスティリオーネ・デル・ラーゴにあるカンティーナ コーペラティヴァ・ドゥーカ・デッラ・コルニャで 6か月間働いた経験もある。
当日饗されたワインとお料理は以下である。
1) “FUTURA” Metodo Ancestrale 2022
古代方式瓶内二次発酵のスパークリングワイン。土着ブドウ品種トレッビアーノ・スポレティーノ100% (他のトレッビアーノ品種と関連なし)。ブドウの房をソフト・プレスし、自然酵母でアルコール発酵。二次発酵はジュースを加えてアルコール発酵がまだ完了していないワインを瓶詰めし、6カ月間澱と共に熟成、酵母を残したまま市場に出荷。元気がよい泡立ちで、トロピカルフルーツやバナナのフルーティーな香り、柑橘やグレープフルーツのようなきりっとした味わい
2) “ELIVE” Trasimeno DOC Grechetto 2022
土着ブドウ品種グレケット100%の白ワイン。ステンレスタンクで発酵、6カ月間熟成。輝く黄金色、柑橘系果実や白い花の香り、ライム、グレープフルーツ、キウイフルーツの爽やかな味わい。
3) “OPRA” Trasimeno DOC Gamay del Trasimeno 2022
ブドウ品種ガメイ・デル・トラジメーノ100%の赤ワイン。自然発酵の後、セメントタンクで10カ月間熟成。チェリーやブラックベリーの香り、ラズベリーやレッドカラントの味わいと柔らかなタンニン。
~ポークのラグー 赤ワインのリドゥツィオーネと共に
4) “C’OSA” Trasimeno DOC Gamey del Trasimeno Riserva 2020
ガメイ・デル・トラジメーノ100%の赤ワイン。自然発酵の後、セメントタンクで6カ月間熟成後、大樽とセメントタンクで更に12カ月熟成。ストロベリーやプラム、アーモンド、スパイスの香り、プラムやブラックベリー、ヴァニラの味わいと柔らかなタンニン。
主催:MADREVITE
運営:SOLOITALIA