プロセッコDOCはロゼ登場、カクテルにも活路で彩り豊かに魅力が開花。コロナ下でも日本向けキャンペーンを継続
プロセッコDOCの全国レストランキャンペーン「Mese del Prosecco DOC」(プロセッコ月間)が参加店を募集中
2020年から続いた新型コロナウイルス感染症の第5波が収束し、国内でも外食を中心とした行動制限が緩和された。これまで甚大な影響を受けてきた酒類業界も反転攻勢に転じている。待ってましたとでも言うように試飲会やセミナーが続々とスタートしたが、緊急事態制限下でも例年同様にプロモーション活動を展開が目立ったのがイタリアワイン業界、とりわけ「プロセッコ DOC」(Prosecco DOC)の存在だ。
世界遺産のもとに、生産量世界一を誇る人気スパークリングワイン
プロセッコをひと言で表わすとすれば、「世界で最も親しまれているスパークリングワイン」と言えよう。イタリア北部の、ヴェローナとロヴィーゴの2県を除くヴェネト州とフリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州の全域で造られるプロセッコは全体の生産量6億本を誇る。20ある州のすべてでワインが生まれているイタリアでも最大のワイン産地のヴェネト州の中でひときわ存在感が高いのがプロセッコである。フランス産のシャンパン、スペインのカバの生産量がともに3億本前後と言われており、英国やドイツほかEU諸国、北米やロシアではすでに高いプレゼンスを示している。その積極的なマーケティング活動を見る限り、今後さらに生活者の日常に溶け込んでいくだろう。
2019年にブドウ栽培の丘陵群がイタリア55番目の世界文化遺産に登録された、コネリアーノ・ ヴァルドッビアデネ・プロセッコ・スペリオーレDOCGからは、瓶内二次発酵による発泡性ワインをも凌駕するプロセッコ生産者も存在し、プロセッコを品質の面で支えている。第3の産地、アーゾロ・プロセッコDOCGは年間の生産量は1000万本とごく少数ながら、マニア心をとらえる味わいが久しく人気だ。
2009年にIGTから昇格し、プロセッコ生産地域全体を指す現在のプロセッコDOCは年間生産本数5億本を超える、世界的なマーケットを支える存在だ。特に昨年は法改正が実現してプロセッコ・ロゼの生産が解禁、今年から市場に出回り、食卓に新たな彩りを添えている。
ロゼの登場でプロセッコの市場はさらに加速
プロセッコにおける今年最大の話題は何と言ってもロゼの登場だ。ワイン法で産地呼称や製法、使用可能な品種などの規定があるイタリアでは昨年5月に法改正が実現。プロセッコの風味の柱であるブドウ品種のグレーラをこれまで通り85%以上使用し、ピノ・ネロ(ピノ・ノワール)を10~15%使用したワインを「プロセッコ ロゼ」(Prosecco Rosé)と呼ぶことが認められた。市場はにわかに活気づき、日本でも早いものでは2月下旬から桃色のプロセッコが出回った。
プロセッコ ロゼは、これまでの柑橘や白い花、桃やパイナップルなどの甘味なフルーツとハーブのフレーバーが特徴のプロセッコに、さらに赤いベリーの風味が加わったと言えば分かりやすい。品質的には、これまでもロゼのスパークリングワインを生産していたメーカーに一日の長があった。また、ドライで黒ブドウの存在が希薄な印象のアイテムの中でも、夏ごろから香りや味わいが開いたものもあるほか、エクストラブリュット、ブリュットナチューレといった辛口カテゴリーの中に秀逸なプロセッコ ロゼが見つかっている。価格はメーカーやブランドにもよるが、既存のスタンダード品より10~20%程度割高となっていたが、秋に入り価格も落ち着いてきた。これまで数年にわたる働きかけが結実したプロセッコ ロゼは、この秋からより一層、本格的に普及し始める素地が整ってきている。
関連記事:プロセッコDOC「2021日本プロモーション」参加ワイナリー一挙紹介