桜色のスパークリングで明るい春を。プロセッコの“新色”「Prosecco DOC Rosé」
桜の季節に向けてワインを選ぶなら、清々しい初物を勧めたい。世界で最も多く飲まれているスパークリングワイン「プロセッコ」は昨秋から、ロゼという“新色”によって世界に話題を発している。これまでごく一部のスティルワインや微発泡を含む、白タイプのスパークリングワインとされてきたプロセッコDOCは、昨年の収穫分から正式に「プロセッコDOCロゼ」(Prosecco DOC Rosé)としての生産・販売が可能になった。
2020年ヴィンテージからロゼが解禁
イタリア・ヴェネト州トレヴィーゾに本部を置くプロセッコDOC ワイン保護協会(Consorzio di Tutela della Denominazione di Origine Controllata Prosecco, https://www.prosecco.wine)ではこれまでも、英国や米国市場におけるプロセッコ・ロゼへの期待に関する調査結果を織り交ぜながら導入の可能性、必然性を訴えてきた。小誌ではロゼ登場の可能性を2018年にも把握し、2019 年収穫分からの発売開始も見込まれていた中での悲願達成で、コロナ下でも生産者の意気は高まっている。
プロセッコには三つの生産エリアが存在し、トレヴィーゾ県のコネリアーノとヴァルドッビアデネを結ぶ丘陵地、そしてアーゾロには二つのDOCGカテゴリーが、そしてヴェローナ県とロヴィーゴ県を除くヴェネト州およびフリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州全域で生産されるものがDOCとして認められている。
世界最大のスパークリングワイン産地。DOCだけで5億本の市場
プロセッコDOCの生産量は昨年、本数換算にしてついに5億本を突破。コネリアーノ・ヴァルドッビアデネ・プロセッコ・スペリオーレDOCGも1億本を生産、アーロゾ・プロセッコDOCGの1000万本と合わせて6億本を超え、世界最大のスパークリングワイン産地としてのポジションをさらに強めた。
イタリア農水省が昨秋から生産が認めたのはプロセッコDOCのロゼ。ブドウ品種はグレーラ種と10~15%のピノ・ネロ種(ピノ・ノワール)で、60日以上のタンク内二次発酵(マルティノッティ/シャルマ方式)によるスパークリングワインだ。1ha当たりの収穫量はグレーラが18t、ピノ・ネロは13.5tが上限とされている。ラベルには「ミッレジマート」(millesimato)の表記とヴィンテージを記載する必要があり、表記した年のブドウを85%以上使用することが義務付けられている。