定着から飛躍へ。プロセッコが日常を彩る選択肢に

家庭内消費がいかに伸びていくか

 プロセッコの日本への輸出量は、新型コロナウイルス(Covid-19)の影響を受けた2020年でさえも増加に転じた。プロセッコDOCワイン保護協会によると、同年のプロセッコDOCの対日輸出量は2016年以来である200万本を超えている。背景には、2017年から続いている同協会による日本へのプロモーション活動によるところも大きい。例年、夏の期間に1カ月ほど行なわれているレストランキャンペーンでは、参加レストランも、キャンペーンに出品するワイナリーの数もともに増やしてきた。コロナの影響を大きく受けた2020年と21年は11~12月に開催時期を変更したが、コロナ下にもかかわらず170ほどの店舗が参加し、21年は7664本を売り上げた。参加店はイタリア料理に限らず、中には日本料理やAsia’s 50 best barsに名を連ねたバーの名前もあった。販売したボトルの本数競争だけでなく席効率やSNSでのプロモーションに参加したレストランを表彰し、近年は雑誌とのタイアップやオンラインコミュニケーションも積極的に展開し、消費者への直接的な働きかけも多く見られている。

国際食品・飲料展「FOODEX JAPAN」ではプロセッコの輸入を検討する商社が足を止め、各種のボトルと向き合っていた
昨年のプロセッコ月間に先立って行なわれたセミナー。バーテンダーやソムリエのほか、旅行業界、一般消費者など参加者は多岐にわたった

  

 こうした料飲店と消費者向けたマーケティング活動に加え、両者をつなぐ流通、特にスーパーマーケットなど量販店での取り扱いを増加させた動きは、日本での活動をオーガナイズしているのがイタリア大使館貿易促進部であることも大きいだろう。特に多店舗展開するスーパーマーケットの一部は独自に輸入網を構築し、単なる流通業者ではなく輸入業者を兼ねることで、これまでも値ごろ感のあったプロセッコをより親しみやすい存在として市場に送り出している。

いまや白ワインを凌ぐ存在となったロゼ。プロセッコにおいてもその新色の登場はもっとも大きなトピックであり、強力に市場拡大を後押しする

 プロセッコは話題も豊富だ。2019年7月には、主要な産地であるコネリアーノからヴァルドッビアデネにかけた通称「プロセッコ ヒルズ」(Prosecco Hills)がユネスコの世界遺産に認定されただけでなく、20年にはプロセッコを象徴するブドウであるグレーラにピノノワールを加えた「プロセッコDOCロゼ」(Prosecco DOC Rosé)の生産が認められ、21年春から日本市場にも広まっている。その20年には、日本最大級の問屋街である日本橋横山町に日本で初めてとなるプロセッコバー「MARTINOTTI」も開業し、プロセッコ市場の拡大に務めている。

飲用シーンを広げるプロセッコ

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