シチリアの革新者、カンティーナ「グリエリ」が描く新境地

シチリア注目のワイナリー「グリエリ」によるプレゼンテーションディナーが2026年9月15日、東京・日比谷パレスで開催された。南イタリア・シチリアの伝統と独自の革新性が織りなすワインの全貌を、アプレヴ・トレーディング㈱が輸入するラインナップからお披露目。イタリアにおける日本人初のプロフェッショナル・ソムリエ(AIS)である林茂氏が代表を務めるソロイタリアがワイン業界関係者を迎え、現地ワイナリーへの見聞を交えて解説した。

シチリア南端、キアラモンテ・グルフィの挑戦

シチリア島南端のラグーザ近郊、キアラモンテ・グルフィ。イブレイ山地の麓に広がる標高270〜300メートルの丘陵地に、グリエリの畑は広がる。

50年にわたりブドウやオリーブを栽培してきた両親(父ヴィンチェンツォ、母グラツィエッラ)の情熱を受け継いだ息子で、数学教師でもあるジョヴァンニと妹のアンジェラがワイナリーへの転換を果たした。白亜の粘土質土壌と昼夜の大きな寒暖差がもたらす繊細なアロマと豊かな複雑味。生み出されるワインは、いずれも年間3000~4000本程度という少量生産を徹底する。

全品BIO認証のワイン造り

シチリアの多様な土着品種に光を当てつつ、他エリアや他社とは一線を画すアプローチ。その最大の強みが、全品でEUのBIO認証を取得している点だ。自然への敬意とサステナブルなワイン造り。テロワールの純度をそのままボトルに封じ込める姿勢が、今回のディナーの軸となった。

今回のイベントの目的は明確である。グリエリのワインの啓蒙と、シチリアワインにおける新たな価値の提示だ。

料理とのペアリング、シチリアワインの新機軸の目覚め

中西ファームや海老原ファームの野菜、マルヨシ鮮魚店の魚介、山地酪農牛乳などの厳選素材を用いる日比谷パレス。シチリア料理店での経験豊富な大山清貴ソムリエ監修によるコース料理にグリエリの個性が見事に調和した。

“ドンナグラツィア” スプマンテ ビアンコ メトード クラッシコ
  • “ドンナ・グラツィア” スプマンテ・ビアンコ・メトド・クラッシコ・ブリュット
    • 合わせた一皿:カポナータのブルスケッタ
    • 緻密な泡立ちと奥行きのある味わいが、カポナータの凝縮された旨味とトマトの酸味を華やかに包み込む。
カポナータのブルスケッタ

グリッロ シチリアDOC
  • グリッロ シチリア DOC 2024(グリッロ100%)
    • 合わせた一皿:バターナッツ南瓜のスープ、鮮魚のカルパッチョ 葡萄のソース
    • 南瓜の優しい甘みを引き立てる豊かなミネラル感と、旬の魚介・葡萄のソースが織りなす爽やかなハーモニー。
真鯛のカルパッチョ ブドウのソース

“ドンナ グラツィア” ビアンコ
  • “ドンナ・グラツィア” ビアンコ(ネロ・ダーヴォラ、フラッパート)
    • 合わせた一皿:秋茄子とトマトのノルマ風カザレッチェ
    • 黒ぶどうから仕立てた白ならではの複雑な香味。秋茄子と濃厚なトマトソースの旨味に抜群の相性を見せる。
秋茄子とトマトのノルマ風カサレッチェ

フラッパート テッレ シチリアーネIGT
  • フラッパート テッレシチリアーネ IGT 2024(フラッパート100%)
    • 合わせた一皿:鯖のベッカフィーコ仕立て ういきょうとオレンジのサラダ
    • 軽やかなタンニンとチャーミングな赤系果実の香り。鯖の香ばしさと、ういきょう・オレンジの爽快なアクセントを軽快につなぐ。
鯖のベッカフィーコ仕立て ういきょうとオレンジのサラダ

“ドン・ヴィチェ” チェラスオーロ ディ ヴィットーリアDOCG
  • “ドン・ヴィチェ” チェラスオーロ・ディ・ヴィットーリア DOCG 2021(ネロ・ダーヴォラ60%、フラッパート40%)
    • 合わせた一皿:京鴨胸肉のアロスティーレ 無花果ときのこ マルサラソース
    • シチリア唯一のDOCGが持つ気品と奥行き。鴨肉の芳醇な肉汁と無花果の甘酸っぱさを引き立てる圧倒的な存在感。
京鴨肉のアロスティーレ いちじくとキノコ マルサラソース


伝統の継承と革新がもたらす未来

黒ぶどうを用いた白やロゼ、スパークリングへの挑戦。数学者としての論理性と、シチリアの太陽が育んだ土壌への深い愛情。カンティーナ・グリエリが切り拓く地平は、世界のワインラヴァーの知的好奇心を刺激してやまない。

シチリアの原風景を守りながら、現代のガストロノミーシーンに新たな風を送り込むグリエリ。その比類なき哲学と未来志向は、シチリアワインにおいて確かな足跡を残している。

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